大正から昭和初期にかけて、群馬県伊勢崎市で「伊勢崎銘仙」と呼ばれる絹織物が花開きました。大胆かつモダンな模様、鮮やかな色の組み合わせ、のびやかで自由な絵柄。当時の常識をやすやすと超えたその布を、自ら選んで纏う女性たちがいました。
「女性はこうあるべき」という時代の空気感のなかで、彼女たちは自分の好きな柄を、自分の好きな色を、ためらいなく選びました。それはとても小さな、でも確かな自由の行使でした。
銘仙は庶民のハレ着として、当時の女性たちに広く愛されました。しかしやがて時代は移り、織り手は減り、工場の灯りも消えていきました。今では、新たな伊勢崎銘仙を生み出すことはできなくなっています。